ティーサービスの中で一番必要な物はティーポット、さらにその次に用意されたい物は??と申しますと ティーケトルがあります。 現代の生活ではお湯を沸かすなんて、IHでもガスレンジでも簡単に沸かすことが出来ますが、当時は キッチンでお湯を沸かし、客間へ運ぶまで長い廊下を通っていく間に、せっかくの熱々のお湯が冷めてしまう ということだったのでしょう。 そこで三脚の上に置き、下にはアルコールランプをセットすることで、常に熱々のお湯が側にある状態を 保った訳です。
このティーケトルのルーツは??と言うと、1700年頃にすでに登場しています。 しかしその数はとても少なく、フルセットで見かけるスタイルはティーケトルの下のオイルスタンド用にトライ
アングルサイズのサルヴァを一緒にあてがわれたセットでした。 またケトル専用のテーブルが作られ、サロン内での紅茶をサービスする間は弱い火力にて温度を保っていました。
その後、ティーケトルの習慣が根付くかに思えたのですが、ティー・アーンという浸出した熱い紅茶を 入れる装飾の凝った大きな容器が登場します。前側に蛇口があり、その蛇口から直接ティーポットにそそげる
ようになっていました。
サロンにて華やかに演出されるヴィクトリア期のティーセレモニーでは、ティーアーンとティーケトルのどちらかの 容器が使われるようになっていきます。 もう一点、ケトルとオイルスタンドを繋ぐ鎖も、当初作られたティーケトルにはスタンドと上のケトルを重ねたり そのままスタンドに置かれたタイプが多く、ヴィクトリア期になって鎖でスタンドを固定するスタイルが見られる ようになります。また、鎖部分も全部を外さず、お湯を傾ける方をそのまま固定させながら使用しました。 これも、熱いお湯がこぼれないようにという配慮からだったのかもしれません。 |
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