No.004 |
英国カーネリアン・デザートカトラリー |
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テーブルマナーという食事の作法が確立するようになった頃から、ようやく一人一人用のカトラリーがあらかじめ テーブルに用意されるようになります。 それでは、その前は??と、このルーツを探り始めると、とても面白い歴史発見があります。 また、それは欧米の食文化を紐解くことから始まりますが、人を招いての正餐会を開催する習慣が始まった頃、 特権階級の方がたのお食事会は、その会場にご自分のカトラリーを持参したものと言われます。 しかも、フランス式サービスという現在のテーブルマナーとは違ったお食事方法でした。後に一般的な食事方法となる ロシア式サービス、つまり現代の会食方法に近いマナーへと変わってきますが、どちらにせよ階級の高い方がたの側には、 執事が待機しプレートの上にお料理をよそおいます。 しかもご主人様のカトラリーセットを拝借しながらお料理を切り分けたという記録がありますので、最初はまだまだ〜 サーヴィング用のカトラリーなども登場しなかったのでしょう。
さらに、稀少なテーブル・カトラリーの中でも、とても美しい意匠性の高いデザートカトラリーがあります。 それは当時、別室にてデザートを頂く習慣から、テーブルカトラリーとのデザインの統一性を求めず、特に「珍しい素材 など」をハンドルに用い作られたようです。 そのハンドルに使われた素材に、輝石・木・象牙またヴィクトリア期になってからはマザーオブパールが多く出回ってきます。 特に時代の古いカトラリーに多い素材は輝石、しかも色合いの面でも美しいカルセドニーを多く見かけます。 メノウ・縞メノウ・アゲート・オニキス・翡翠など、さらにナポレオンに好まれたとされるカーネリアンはパワーストーンとして 有名です。
それは活力を与える鉱石とされ、古くから彫刻や置物、またナポレオンも作られたそうですが印章の素材としても用いら れました。現代ではお目にかかれなくなった輝石を用いたデザートカトラリー、それはオーダーする事が出来る階級、 さらに稀少な素材を使える事が出来る階層がかなり限られた時代であったからでしょう。 |
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