No.010 シュガーキャスター&コンディメントセット

1700年代の香辛料入れとは〜どんな種類があったのでしょう。この疑問は当時のWarwick Cruetと呼ばれる器から始まります。その器に容れられる香辛料はどんなもの?かをあげてみますと、塩、胡椒、マスタードの3種類くらいはすぐに思い出されますが、まだまだ〜その他にガラスのボトルのような器が付いています。それはどんなものを容れるの?かを調べますと、オイルとヴィネガーの2種類の液体をそれぞれのガラスの器に容れ、さらにシュガーキャスターを一緒にクリュエットという台座付きの持ち運び可能のバスケット?みたいなスタンドに納まっていました。

それは、その昔〜食卓用の香辛料入れという小ぶりな器が無かったことから、クィーンアン時代に食卓にも置く事が出来る香辛料入れが欲しい〜という要望により登場し始めましたが、持ち得る方がたと言えば・・・王族くらいの方がたであったでしょうし、その頃の一般庶民にとってはテーブルの上にお塩入れがあることすら〜別世界のことだったでしょう。

さらに時代とともに、香辛料の変革とも言えることが起こります。 それはマスタードです。私達が普段何気なく使っている練り状のからし、当時はドライマスタードという乾燥したカラシを振り掛けるものでした。そのドライマスタードが1760年頃に、練り練りの状態になったものを使う習慣となり、そこで器もパラパラと胡椒のようにふり掛ける小さな穴の細工の器が不要となって参ります。さらに乾燥を防ぐ蓋付きの現在のようなマスタードポットという形に変化していきました。

このクリュエットと呼ばれた卓上用の香辛料フルセットも、香辛料の変化に応じながら一つ減り一つ減りながら、食卓用として用いられたクリュエットとしての香辛料の器全てをまとめて用いる必要性が無くなっていきます。さらに呼び名もコンディメントセットという塩入れ&胡椒入れのみを組み合わた必要最小限の香辛料セットが普及することになり、さらには蓋付きのマスタードポットを合わせたコンパクトなセットをペアにされて注文〜する方が多くなりました。

そこで困ったのがシュガーキャスターです。当時は塊となったお砂糖が流通するなか、細かく粉砕させたお砂糖をキャスターシュガーと呼び、その器もシュガーキャスターとしてクルエットの中に含まれておりましたが、ずっと一緒に食卓を飾る香辛料達の姿が変わることにより、シュガーキャスターのみぽつんと取り残されてしまいます。しかもシフタースプーンのデビューにより、ますます存在価値を揺るがす?時代となり、現在ではアンティークの銀器の中で出会うくらい・・・となりました。器は目的に応じて作られ、愛用された存在です。しかし、私達の日常には想像することも出来ない?目的に応じオーダーされたアンティークの銀器は、当時の持ち主にとっては無くてはならない必需品であった器もたくさ〜んあったことでしょう。

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