1860年頃〜ヴィクトリアの後期1900年頃にかけて、特に1870年代は日本製の物がどんな物?と言っても大げさではないほどもてはやされた時期でした。ヨーロッパはもちろんイギリスにおいても、一種の日本ブームが巻き起こっていた時期です。当時の日本は?と言いますと幕末から明治への、国民の文化意識から武士・商人という階層までもが、変革の波に揉まれるという時代でした。しかもヨーロッパの諸国にすると、まったく価値観や文化意識の違う国が作り出す芸術は、今までのヨーロッパでは想像を超えるほどの驚くべきフレッシュな感動だったに違いありません。
その日本人の感性とはどんなものだったのでしょう・・・、しばらく考え込まなければ出てこないくらい、現代の日本人の方が欧米化しておりますが・・・当時の文化を思い起こしていますと、浮世絵から日本刀さらに根付けや着物・・・また建築物や漆器に残るナチュラルモチーフ、さらにサーキュラーモチーフと言われる家紋のよ
うなデザイン、市松文様、ジェオメトリックフォームと言われたデザインなど、確かに私達が日常さり気なく見ている物の中に残っていると思います。しかも銀器の中でも日本的な装飾方法を発見する事があります。一本のペーパーナイフのブレードに飾られたモチーフには、くっきりとジャポニズムアーツが残されていました。しかも、現代の日本以上に豊かな日本的な風情を感じてしまいます。 |
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