No.012 コープランド&スポード

イギリスの陶磁器発展に貢献したジョサイア・スポードが1770年スポード窯を設立しました。時代もイギリスの陶磁器技術がどんどん進歩し、優れた作品を残した頃です。そして、その息子の代へと引き継がれた後の1806年には、当時まだ皇太子であったのちのジョージ四世に、ロイヤル・ワラントを認定されます。つまり英国王室御用達のお墨付きをいただいたという栄えある誉れです。しかし経営困難はいつの世も起こりうる一大事。スポード窯とて他人ごとではありませんでした。
高度な技術力&技術者のみでは、経営は行き詰ります。そこで1833年ロンドン市長の職務をつとめたとも言われる実業家のウィリアム・コープランドともうひとりのビジネスパートナー、トーマス・ギャレットが買い取ることによって、存続の危機とまで落ち込んだスポード窯を立て直していきます。また、それだけジョサイア・スポードの残した技術が優れていたからとも言えますが、会社を乗っ取る?などという買収策とは違い、良い技術力に対して貢献する意味のある投資だったと思われます。その間に作られた陶磁器をみかけますと、窯名がコープランド・スポードという説明を受けることがあり「なんだろう?その窯は?」という疑問が解決されました。

さらに1970年、もともと窯名の由来となったSpode Ltd.に社名変更されます。創設者の意思を汲み入れた計らいなのか?そこははっきりしませんが、職人魂の団結力にもなったことでしょう。さらに現代はロイヤルウースターの傘下となり、ブランド名こそはスポードとして製品販売されておりますが、経営はRoyal Wocester Spode Ltd.となり、イギリスの代表的な陶磁器文化の礎となっています。

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