No.019 ロイヤルウースターのアーティストU

ロイヤルウースターのアーティスト達は後世に素晴らしい陶磁器を残してくれました。そのひとつ、ウースター窯特有のアイボリーブラッシュ地に生き生きとした表情豊かな草花を描いたティーセット&プレート。まるでペインター自身の命を吹き込んだかのように儚くも可憐な花々を描いています。ロイヤルウースターが流星の如く美しい陶磁器を残した経緯には、ウースターの養成学校=アートスクールの活動が取り上げられます。ここで優秀なアーティストを育て自社独自の陶磁器を作り上げました。

スタッフォードシャー生まれ Edward John Raby はウースターのModellerとして働く父 Samuel Raby の影響もあり、ウースターのアートスクールにて学びました。特に植物を描くことを得意とし、いつもスケッチブックを持ち歩いていたという記録が残っています。そのスケッチブックの中には花々の水彩画がたくさん描かれていたことからも、ガーデン&野原で写生をしながら植物の生育から自ずと観察力を養っていたのでしょう。また時代の大きな流れとして彼の描く作風にもアールヌーボーの影響を強く受けたことを感じさせます。

絵付け師として魅力的な色合いを多々残していますが、その中でも Raby Mauve と評された「うす紫色」または「青みがかったうす紫色」がございます。〜日本的にはふじ色に近い色合いですが彼の独特の作風の中でも特別なスペシャルシークレットカラ―を生み出しました。

お花のデザインや色の取り合わせには類を見ない抜群のセンスを持っており、当時の評論家は「その時代でお花を描かせたらナンバーワン」と彼の作品を褒め称えています。すべての花々、それぞれの花々の表現が秀でていた事は花びら一枚一枚の表現を目にした瞬間からその魅力に嵌まり、さらに力強いメッセージを感じる絵付けばかりです。またモノグラムとして彼のサインが残されています。

信仰心の厚い人であり、リタイアしてからもセバン川の畔にて水彩画を描き続け来世の仕事の為にも勉強し続けていたとのこと。いつか再び彼の絵付けに出会う事が出来るならば・・・・神々しい光に出会えるのではないでしょうか。


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