No.030 華麗なるジョージ・アダムスとジャーニーマンズマーク

ジョージアン・スターリングシルバーのテーブルカトラリーを作り続けた工房としてGeorgeWilliamAdamsは必ず語られるシルバースミスです。ジョージアンからヴィクトリアンへと英国が経済的にも政治的にも勢いを増していく時代において正餐会を華やかに演出するテーブルフラットウエアはまさしく〜テーブルの花形的存在。お邸に案内されますとダイニングルームの中央〜ダイニングテーブルに整然と並べられたフォーマルセッティング。そこにはキングスパターンハンドルのテーブルスプーン&ナイフ&フォークからデザートスプーン&ナイフ&フォーク等が鮮やかなスターリングシルバーの輝きを放っています。センターラインにはシンメトリー配置のイパーンが並べられ燭台に灯る明かりがご着席の貴婦人のお顔をより美しく輝かせています。

  1770年頃、英国で最初に作られたカトラリーとしてオールドイングリッシュパターン&オールドフィドルスレッドパターンがほぼ完成。その後にフィドルスレッドパターンにシェル紋様を付けたフィドル&シェルパターン、アワーグラス、さらに装飾面において最もゴージャスなキングスパターン、そしてキングスをもっと優美にと考えらたクィーンズパターンが近代へと受け継がれましたが、数あるハンドルパターンの中でも現代では製造されなくなったハンドルパターンや同じハンドルパターンであっても略式化した近代的なデザインへと変わっています。

 アンティーク・スターリングシルバーのテーブルカトラリー〜の中でも細部の仕上げ方からテーブルスプーンやフォーク等を仕上げる全体の絶妙なバランス感覚を味わえますのが〜不思議とGeorgeWilliamAdamsとしてホールマークを申請した頃のテーブルカトラリーです。1815年にホールマークを申請したWilliamChawnerに弟子入りしたGeorgeAdamsは親方亡き後、親方の娘婿として親方の奥さんとともにホールマークを申請。その後、親方の奥さん亡き後から工房を引き継ぎGeorgeWilliamAdamsとしてホールマークを申請〜多くの弟子達とともに美しくも華麗なテーブルフラットウエアを残しました。

 ところでGeorgeWilliamAdamsが1845年にホールマークを申請した‘キングスパターンハンドルのテーブルカトラリー’に印されたメーカーズマークの傍に小さな&小さな数字が印されています。テーブルスプーン1本を手にするだけでは気になりませんが、それぞれ12本揃いのテーブルスプーン&フォーク等を調べますと親方率いる徒弟達の誰が製造したのかを記す暗号のような印〜Journeyman'sMarkが読み取れます。この徒弟達の記す印は太陽や月・剣といったシンボルマークから主に数字によって記されていました。工房のシークレット情報のようなJourneyman'sMark。スターリングシルバーのフラットウエアと限らず大きな銀器には製造に取り掛かったジャーニーマンの人数に応じた印が残されています。

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