明治の細密工芸がヨーロッパのジャポニズムの流行で活路を見出した頃、江戸の装飾工芸のなかでも根付師の美意識を見直させる数々の英国のスターリングシルバーに出会います。江戸庶民から武士の装身具のひとつとして印籠を提げる習慣に名工達の動物や人物や植物など物語を想像させるモチーフで作られた根付&象牙彫刻が英国をはじめとした諸外国からのオーダーに応えたスターリングシルバーのテーブルウエアは云わば里帰りの工芸品です。こちらはヴィクトリアンスターリングシルバーのサーヴィングスプーンのボウル面をフラットに仕上げ縁取りには単弁の花びらを造形的に仕上げています。ボウル面の内側&裏側にジャポニズムスタイルの花鳥風月を描いたサーヴィングスプーンセットです。そのボウルのハンドルに用いた見事な象牙彫刻を組み合わせています。ハンドルを飾る猿と蟹と蛇と波の合間に蓮の花を巧みな情景に彫り上げ緩やかなハンドルのカーブが直線的なハンドルつなぎ部分と対照的な造形です。書籍「アンティークシルバーのある暮らし」のジャポニズムスタイルのひとつにご紹介しました。不思議な出会いで数々のアイボリーをハンドルに用いたテーブルカトラリーを集めていらしたイギリス人のジャポニズムコレクターさんから譲っていただくことができました。その中のひとつを次の世代へ受け継いでいただけましたらとオーナーズコレクションにご紹介します。
HenryAtkin
※サーヴィングスプーンとともに美しいアイボリーのロングサイズのペーパーナイフを並べました。ハンドル装飾を飾る根付師の精巧な技 も素晴らしいです。ご興味がございましたらお問い合わせください。 |